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2023年2月、Synspectiveは創業から5周年を迎えました。この節目に、弊社の創業者でCEOの新井元行よりこれまでの軌跡を振り返りながら、皆様への感謝のメッセージを申し上げます。

 

創業5周年を迎え

 

Synthetic data for perspective on Sustainable development ―、

持続可能な未来の実現のために総合的にデータを活用し、一歩一歩着実に前進する。その思いを社名としたのが Synspectiveです。

Synspective創業以前、私は途上国を中心に様々なソーシャルビジネスを手掛けてきました。その中で得た大きな気づきは、データに基づく課題理解と再現性のある行動の重要性でした。いくら素晴らしいプロジェクト設計や成果が生まれても、それが有意な課題解決策として、再現可能な形で拡がっていかなければ、地球規模の社会課題の根本的な解決にはつながらないからです。

これを実現するには、環境変化や経済活動を継続的に俯瞰するデータとその解析を通じた科学的なアプローチが必要です。つまり、広域・一様・複合的なデータが求められますが、その一角に、SAR衛星コンステレーションが大きな役割を担えると考えました。加えて、その膨大なデータ解析を行うためのデータサイエンスや機械学習をはじめとするテクノロジーが、広く世の中に普及する時代にも恵まれました。

そして、私たちは自社のミッションを「新たなデータとテクノロジーにより人の可能性を拡げ、着実に進歩する『学習する世界』の実現」と定め、世界が抱える様々な課題に対して、データに基づいたソリューションを提供する企業を目指すことにしたのです。創業から5年、東京の小さなシェアオフィスからスタートした私たちは、清澄白河に自社オフィスを構え、今や185人、28カ国のメンバーが集う組織となりました。いつも献身的で有能なメンバーみんなに感謝の気持ちを送ると同時に、私たちがこの5年間で達成してきたいくつかのマイルストーンを紹介し、お祝いとお礼を伝えさせて頂きたいと思います。

 

 

日本初の小型SAR衛星による画像取得成功

そして2機目、3機目と5年間で3機の軌道投入と画像取得の成功

 

2020年12月15日。ニュージーランドのマヒア半島にある発射場からRocket Lab社のElectronロケットにより、自社初の実証衛星「StriX-α」が打ち上げられ、軌道投入に成功しました。翌年2月に日本初となる小型SAR衛星(100kg級)による画像取得に成功しました。

そして、2022年の3月に実証衛星2号の「StriX-β」、同年9月に3機目となる実証商用機の「StriX-1」の打ち上げも成功し、そしてそれぞれの衛星が画像取得に成功しました。

これらの衛星は現在も日々運用を続けており、取得画像の精度の向上や運用の効率化を図りながら次世代衛星の開発も進行しています。

 

(実証初号機 StriX-αによる撮像)

 

衛星データを活用した解析サービスの開発

 

衛星の打ち上げに先駆けて、2020年9月に自社初となる衛星データソリューションサービスの地盤変動モニタリングサービス(Land Displacement Monitoring:LDM)を発表し、同年12月には災害対応の浸水被害を評価する浸水被害モニタリングサービス(Flood Damage Assessment Solution:FDA)を発表しました。

地盤変動モニタリングサービスでは、陥没の可能性箇所を特定する陥没領域抽出機能(PCT/JP2021/003312、2021年4月)や災害予兆変動を検知する斜面不安定性検知機能(PCT/JP2022/026506、2022年8月)なども追加開発され、サービスの向上を図っています。

その後も顧客の要望や世の中のニーズに応える形で、新たなソリューションサービスを開発しています。

 

 

多くの企業、政府との実績

私たちはこれまでにJAXAや地方自治体と共創し豪雨等水災害への対策強化の取り組みや、世界銀行とネパール国家減災庁との地盤変動状況の調査、JICAと共にグアテマラ国の新たな災害リスク箇所の検出、内閣府の小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証に関する契約など、この他にもここには書ききれない多くの取り組みから、私たちは成果を残すと共に、ノウハウと経験を積むことができました。

これらのPoCや各種商用サービス提供は創業5年のスタートアップとして破格の収益をもたらし、事業拡大の基盤を形成しつつあります。今後も、社会性と収益性の両立を追求し、社会へのインパクト拡大を進めていきます。

 

数々の受賞

私たちはありがたいことに、この5年間で世界中から評価され、数多くの賞を頂きました。

2019年にEuroconsult Awardとして “Strategic Transaction for EO Business”を受賞、2020年から2022年にかけてLinkedin Japan「Top Startups」に3年連続で選出、2022年と2023年にGeoawesomeness(世界の地理空間企業トップ100)にも2年連続で選ばれました。また、オランダにてGeospatial World Leadership Awardの受賞、経済産業省主催の日本スタートアップ大賞2022で文部科学大臣賞を受賞しました。

また、私自身も2020年にBusiness insider「100 people transforming business in Asia」に選出され、今年に入ってからは文部科学大臣より「起業家教育推進大使」を拝命しました。

これらの受賞は、Synspectiveの仲間との地道な努力と、多くの方々のご支援の結果、得られた評価です。仲間と共に歩みつつ、産業全体や次世代の若者・子供たちにもしっかりと学びを共有し、社会全体の課題解決力向上に貢献することで、恩をお返ししていきたいと思います。

 

未来に向けて

5年間、あっという間でした。

創業当時は、冒頭に書いた課題意識だけを持ち、社会性と収益性を両立できる新しい会社を作る、ということ以外は特に具体的な考えもありませんでした。当然、5年後の事業や会社のことなど、グローバルに展開しているデータ解析会社になっていれば、という朧げなイメージしか持てませんでした。

そこから、たくさんの才能豊かな仲間を得て、そしてたくさんの方々のお力添えがあり、気が付けばそのイメージの遥か先まで来ることができました。私自身は(みなさんご存じの通り)衛星を作ることも、データを扱うことも、ソリューションを作ることも、それを世界に売っていくことも、そしてこれらを支える管理業務も、残念ながら何もできません。まさにチームの力で、想像以上の成果が得られることを私は学びました。

この過程と学びは、私自身を変えてきました。当初、持続可能な未来を作ることは私にとって(一生の間に達成できないかもしれないが)ライフワークとして取り組むもの、という位置づけでした。しかし仲間がいれば、たった5年でこれほどの成果を上げられるという事実は、私を勇気づけてくれました。今では、Synspectiveのような仲間を世界に増やし、みんなで「学習する世界」を作っていけば、持続可能な未来は10年、20年とかけずに達成できるもの、と確信しています。

次の5年間で、Synspectiveはさらに大きな社会的インパクトをもたらすことでしょう。30機以上のコンステレーションは世界を準リアルタイムで記述するデータを生み出し、様々なソリューションとパートナーネットワークは世界をより効率的で、レジリエントで、そして平和なものに変えていきます。

私たちはそれらを可能とするテクノロジーを持つ企業として責任と使命を持ち、着実に前進してまいります。どうぞ、これまで同様のご指導とご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 

株式会社Synspective

代表取締役CEO

新井元行


【ご案内】

Synspectiveではこの度「StriX SAR Data Gallery」を新たに開設しました。

弊社小型SAR衛星「StriX」がとらえた国内外の画像を確認、ダウンロード可能です。ぜひこちらからご覧ください。